【論文解説】顕微授精すると、発達障害や自閉症のリスクは上がるの?

みなさんこんにちは、やまのです。

更新がお久しぶりになってしまいました…

今回は、たまに耳にする「不妊治療すると、発達障害の子が生まれる可能性が高くなるらしいよ…」について、実際のところどうなのか論文を見つけたので、読み解いてみたいと思います!

ここから先、「不安になるから知りたくない」という人は見ないほうが良いかもしれません。私は今後、体外受精を考えていますが、やっぱり真実を知りたいと思い、調べました。自分の心は自分で守れるよう、選択をしてくださいね。

医療従事者でない方にもわかりやすく解説するつもりです!が、もし間違いがあれば、専門家の方々、ご指摘をお願いしますm(_ _)m

目次

論文の概要

まず、今回ご紹介する論文はこちら。

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2799857

これは、JAMAという世界的に信頼性の高い医学雑誌に、2022年に掲載されたものです。

調査内容

・台湾で実施された調査
・2008年〜2016年までに生まれた単体児を対象とした
・以下は除外:ドナー卵子や精子、顕微授精以外の卵子や胚への操作(例えばアシステッドハッチングや着床前診断など)を実施した症例、情報が足りない症例、多胎妊娠
・調査対象となった単体児の合計は約157万人
 ▶︎内訳:自然妊娠=99.5%、男性不妊によるART妊娠=0.1%、女性不妊によるART妊娠=0.4%
・子供の平均年齢は5.87歳
・自然妊娠と比べた時、生まれてきた子の「自閉症・ADHD・発達障害」の発生頻度に違いはあるのかを調査した

結果

自閉症に関して

自然妊娠による発生率は0.3%

女性不妊のARTによる妊娠の発生率は0.3%

男性不妊のARTによる妊娠の発生率は0.5%

顕微授精による妊娠の発生率は0.5%

自閉症の発生率は、「男性不妊のARTによる妊娠」と「顕微授精による妊娠」でリスクの上昇が認められる

ADHDに関して

自然妊娠による発生率は0.7%

女性不妊のARTによる妊娠の発生率は0.4%

男性不妊のARTによる妊娠の発生率は0.7%

顕微授精による妊娠の発生率は0.5%

ADHDは、自然妊娠と比較すると全ての項目でリスクの上昇は認められない

発達障害に関して

自然妊娠による発生率は1.5%

女性不妊のARTによる妊娠の発生率は1.6%

男性不妊のARTによる妊娠の発生率は2.0%

顕微授精による妊娠の発生率は2.1%

発達障害は、「女性不妊のARTによる妊娠」「男性不妊のARTによる妊娠」「顕微授精による妊娠」でリスクの上昇が認められる

やまの

自閉症、ADHD、発達障害について、それぞれの発生率を見てみるとこんな感じでした。ADHDだけは、体外・顕微授精をしたからといって発生率が上がるリスクは認められませんでした!

ということで、ADHDは一旦置いておいて、自閉症と発達障害の発生率について、さらに詳しく見ていきましょう。

この論文では、年間1000人あたりで、自閉症と発達障害はどのくらいの頻度で発生するかを数値化してくれています。

年間1000人あたりで何人?

※有意差がある項目のみ載せています。

年間1000人あたりの自閉症の発生率

・自然妊娠=0.41人
・男性不妊のART=1.06人
・顕微授精=1.11人
・女性不妊の顕微授精=1.06人
・男性不妊の顕微授精=1.14人

年間1000人あたりの発達障害の発生率

・自然妊娠=2.30人
・女性不妊のART=3.25人
・男性不妊のART=3.89人
・顕微授精=4.36人
・女性不妊の顕微授精=4.25人
・男性不妊の顕微授精=4.52人

やまのの考え&まとめ

さて、ここまでツラツラと結果を書いてみました。まとめると…

結果まとめ

・顕微授精によって生まれた子の自閉症、発達障害のリスクは上昇する

・ADHDの発生率は、顕微授精も自然妊娠も同じ

・顕微授精を行わないARTによる妊娠(体外受精のふりかけ法や人工授精)の場合、リスクは自然妊娠と同じ

・女性と男性どちらが原因かどうかはリスク上昇と関係なく、顕微授精かどうかがリスクに関わっている

今回の調査は、母体年齢が調査結果に影響しないように調整されています。なので、逆に言うと、そういった母体年齢(高齢の場合)も加味して計算しなおすと、さらに障害の発生頻度が高くなる可能性もあると言われています。

ここでちょっと、冷静に考えてみてください。

今回の論文では、「顕微授精で誕生した子は、自閉症のリスクが自然妊娠の2.5倍」と書かれています。2.5倍と聞くと「たかっ!!!!」って思うかもしれません。でもね、実際の人数に直すと「年間1000人あたり0.7人増える」となるんです。

"ぴえん"やまの

数字のマジック

これを高いと感じるか、低いと感じるかは人それぞれ。

やまのは、年間1000人あたり0.7人増えるくらいなら、やっぱり治療することを選択します^^

やまの

治療をやるorやらない。どっちが正しいとかはないよね!事実を知ったあと、自分で選択することが大切なんじゃないかな。

おわりに

いかがだったでしょうか?

ちょっと数字が多くて目が回ってしまう人もいたかもしれませんが、たくさんの情報が溢れる世の中。自分で情報を選択することは大切ですね…。

これからも、より質の高い情報を集めて記事にできるよう、頑張ります^^

やまの

元々、自分のために色々と調べてたから、ついでにそれを記事にできればいいな〜と思っています!

今日の記事も参考になれば嬉しいです!

それでは、またっ!

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